「吸いたい気持ち」の正体
欲求とは、「そろそろニコチンが入る頃だ」と脳が学習して予測したものです。ニコチン濃度の低下や、コーヒー、ストレス、会議の終わり、誰かが火をつける光景といったきっかけで引き起こされます。強烈ですが、短時間で終わります。ひとつひとつの衝動は、たいてい5〜15分で消えていきます。必要なのは無限の意志力ではなく、10分をやり過ごす方法です。
定番で効果的な「4つのD」
- Delay(先延ばし)。「一生吸わない」ではなく「10分だけ吸わない」と自分に言い聞かせ、そのあとでもう一度決めます。たいていの欲求は、待っているうちに消えてしまいます。
- Deep breathing(深呼吸)。4秒かけて吸い、4秒止めて、ゆっくり吐きます。これを1〜2分繰り返すと、衝動の身体的な鋭さがやわらぎます。
- Drink water(水を飲む)。ひと口ずつゆっくり飲みます。口と手が埋まり、時間が過ぎたことも実感できます。
- Do something else(別のことをする)。部屋を移る、階段をひとつ上る、コップを洗う。欲求は状況に結びついているので、その状況を断ち切りましょう。
きっかけに振り回される前に、きっかけを把握する
欲求はきっかけの周りに集まり、よく見ると予想がつくものです。1週間、吸った時間を記録するとパターンが見えてきます。昼食後の1本、電話中の1本、仕事帰りの1本。強いきっかけごとに、代わりの行動をあらかじめ決めておきましょう。夕方6時に欲求のさなかで決めるより、昼の落ち着いた時間に立てた計画のほうがうまくいきます。タバコ本数カウンターを使えば、この把握は自動でできます。
長い目で見ると、本数が減るほど欲求は小さくなる
欲求の強さはニコチン依存の度合いに比例し、依存の度合いは摂取量に比例します。これが段階的な禁煙のさりげない強みです。1日の本数をひとつ減らすたびに、残った欲求が少しずつ小さくなります。いきなりゼロにするやり方のように、初日から人生最大の欲求に立ち向かう必要はありません。欲求に強い離脱症状が伴う場合は、離脱症状の経過で、いつ何が起こり、いつ楽になるのかを確認できます。
いろいろな対処法を試しても欲求が耐えがたいときは、ニコチン置換療法や処方薬を使うと成功の確率が大きく上がります。薬剤師や医師に相談して選びましょう。助けを借りるのはズルではなく、本気で勝ちにいく方法です。