減煙は健康にどこまで効くのか、正直に

正直な答えは、多くの人が意外に思う数字から始まります。141件のコホート研究をまとめた2018年の分析では、1日1本ほど吸う男性は、20本吸う男性の冠動脈疾患の余分なリスクの約46パーセントを抱えていました。女性では約31パーセントです。脳卒中も同じ傾向でした。本数が20分の1になっても、害は20分の1にはならなかったのです。

理由は曲線の形にあります。心臓や血管のリスクは、1日の最初の数本で急に上がり、その後は平らになっていきます。そのため20本目が加えるリスクは、1本目よりずっと小さいのです。同じ分析では、本数を半分以下に減らしながら吸い続けた愛煙家の大規模研究も調べられましたが、心血管リスクの改善はわずかでした。減煙だけでは、心臓はあまり守られません。

肺がんは事情が違います。リスクは吸う本数にほぼ比例して増え、同じ研究でも、大きく減らした人は肺がんリスクが大きく下がっていました。20本から10本にするのは、がんの面では確かな前進で、心臓の面ではずっと小さな前進です。どちらも事実であり、10本で止まってよい理由にはなりません。安全な本数がない理由を詳しく知りたい方は、1日何本までなら安全かをご覧ください。

代償行動:本数を数えるだけでは足りない理由

もうひとつ落とし穴があります。吸い方を変えずに本数だけ減らすと、1本から得ようとする量が増えやすくなります。吸う時間が長くなり、深く、回数も増え、フィルターぎりぎりまで吸い、毎回最後まで吸い切ります。深く頻繁に吸えば体に入るニコチンが増え、ニコチンと一緒にタール、一酸化炭素、その他の有害物質も入ってきます。研究者はこれを代償行動と呼びます。しっかりした研究が自己申告の本数ではなく、血中の一酸化炭素やコチニンを測るのはこのためです。

代償行動は、減煙の健康効果が体感より弱く見える理由のひとつでもあります。強く吸った10本は、普通に吸った20本の多くを届けてしまうことがあります。記録上の本数は下がっても、体への負担はそこまで下がりません。対策は言葉にすれば簡単ですが、少し意識が必要です。

  • 1本1本はこれまでどおりの吸い方で。減らすのは本数であって、1本を大きくするのではありません。
  • 煙を長く止める、火をつけ直す、これまで捨てていた最後の3分の1まで吸うといったサインに気をつけましょう。
  • 1本を1時間かけて少しずつ吸うようなことはやめましょう。吸いたいときは普通に吸って記録し、次までの間隔を伸ばしていきます。
  • 進み具合は、1日だけ頑張れたかではなく、週の平均と間隔で判断しましょう。

減煙が本当に役立つ場面

減煙は休憩所ではなく、道すじとして価値があります。2019年のコクラン・レビューは、2万2千人以上が参加した51件のランダム化試験をまとめました。禁煙前に減煙するよう勧められた人と、いきなりやめるよう勧められた人で長期の禁煙率は同じで、どちらの方法が優れているとも言えないという、中程度の確かさの根拠が得られています。減煙から禁煙へ進む方法は劣った選択肢ではありません。同じ部屋に入る別のドアです。急にやめて再び吸い始めた経験のある人にとっては、通れる唯一のドアであることも多いのです。詳しい比較は、いきなり禁煙と段階的な禁煙の比較にあります。

同じレビューでは、減煙はサポートがあるほどうまくいくことも分かりました。ガムやトローチなど即効性のあるニコチン置換療法、またはバレニクリンを使って減らした場合は、何も使わずに減らすより禁煙率が高く、行動面のサポートは自己学習用の資料だけより効果的でした。禁煙日より前に減らしても、離脱症状が悪化する様子は見られませんでした。減煙から禁煙を目指すなら、薬剤師や医師に自分に合う補助手段を相談できます。

禁煙率以外にも、減煙には急に禁煙するのにはない実用的なメリットが3つあります。

  • 最後の一歩が小さくなる。1日3本からゼロにするのは、1箱から一晩でゼロにするよりも、生活習慣にもニコチン摂取量にも小さな変化で済みます。
  • きっかけの地図ができる。数週間記録すると、無意識に吸う1本と、コーヒー、運転、ストレス、食後に結びついた1本がはっきりします。立ち向かう前に、どの1本が手強いかが分かります。
  • 上限の中で暮らせる証明になる。1週間守れた段階は、次の段階の根拠になります。いきなり禁煙に失敗した人には、新しい禁煙日よりこの根拠のほうが必要なことが少なくありません。

この答えをどう活かすか

減煙は効果があるのか。ゼロで終わる計画の始まりなら、あります。ずっとそこにとどまるつもりなら、大きな効果はありません。前者にするための進め方は次のとおりです。

  1. 減らす前に記録する。減らそうとせずに、1週間ほど全部の本数を記録します。それが基準値で、多くの人は実際より少なく思い込んでいます。
  2. 計画どおりに段階的に減らす。1日の上限を1〜2本下げ、週の平均が上限を下回るまで維持してから、また下げます。詳しい方法は少しずつ禁煙する方法に、日々のコツはタバコを減らす方法にあります。
  3. 普通に吸う。数えるのは本数であって、吸い込む回数ではありません。本数が減っても1本が長くなっているなら、代償行動が起きています。
  4. 「少なく」ではなくゼロを目指す。計画は禁煙日で終わると、今のうちに決めておきましょう。1日5本ほどを切ったら日を決めて、残りを一緒にやめます。

このページは一般的な情報であり、医学的助言ではありません。心臓や肺の病気がある方、妊娠中の方、喫煙の影響を受ける薬を服用している方は、ニコチン置換療法などの補助手段が合うかどうかも含め、いちばん安全な禁煙の進め方を医師にご相談ください。